ステンレスは金属アレルギーになる?サージカルステンレスとの違いやかゆくなる原因を解説

ステンレスは金属アレルギーになる?サージカルステンレスとの違いやかゆくなる原因を解説

金属としてのステンレスの特性

ステンレスとは、金属中の炭素が1.2%以下でクロムを10.5%以上含んでいる、鉄を主成分とした金属の総称です。
添加する元素や合金の比率によって性質は異なりますが、stain(=さび・シミ) less(=より少ない) steel(=鋼)の名前のとおり錆びにくい金属で、食器・シンク・工業製品など、さまざまな製品に利用されています。

3000年以上前から利用されていた鉄と比べると、ステンレスは比較的新しい素材で、普及しだしたのは100年ほど前のこと。ステンレスは、本来は錆びやすい鉄にクロムを合金することで、表面が不導体被膜という酸化物で覆われるために酸化しにくくなっています。
ステンレスが金属アレルギーを起こしにくいのは、この不導体被膜が金属のイオン化を防ぎ、体内へ金属が吸収される経路を遮断してくれるためです。
不導体被膜はステンレス中に含有するクロムと、空気中の酸素との反応によって形成されており、傷がついても空気に触れれば自己修復されますので、メッキや塗装のようにはげることはありません。

使用金属や加工法によって分かれる規格ごとに磁性や強度などの特徴は変わりますが、全般的に高強度で、耐食性が高く、高温にも強いです。毒性もなく品質劣化が少ないのでリサイクルにも適しており、サステナブルな金属とも言えるでしょう。

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今回はステンレスについて、アレルギーの観点から解説します。

  • 金属アレルギーが心配な人におすすめのステンレス
  • ステンレスで金属アレルギーが起こる理由
  • ステンレスとチタンの違い

など、今まで知らなかったステンレスの魅力や注意点を知れば、アクセサリー選びがもっと楽しくなると思いますので、参考にしてください。

ステンレスは金属アレルギーを起こしやすい

ステンレスには金属アレルギーの原因になりやすいクロム・ニッケル・鉄が含まれています。
前述した不導体被膜は1~3nm(ナノメートル)と非常に薄い膜ですので、表面に傷がつくと容易に失われますが、不導体被膜が破れても空気中の酸素とクロムが反応し瞬時に被膜を再生するため、鉄が酸化する時間はないといってよいでしょう。

しかし、不働態被膜は塩素に弱いため、塩素にさらされるような状態ですと再生が間に合わず、腐食が進行するケースも。
水道水の水滴に含まれる塩素が、水分の蒸発した後に残留するなどして局地的に塩素イオン濃度が高まった場合、シンクが変色・腐食するといった現象が見られます。

人間の汗にも塩素は含まれますので、シンクと同じことが起こります。ステンレスのネックレスやピアスなどをつけていて赤くただれたり、かゆくなったりする場合は、金属アレルギーの可能性がありますので、一旦外して様子をみてください。
つけるたびに症状が出るなら、病院に反応するアクセサリーを持参して、医師の診察を受けましょう。

ステンレスで金属アレルギーになったときの症状は?

ステンレスで金属アレルギーが出た場合は、ステンレスに含まれるニッケル・クロム・鉄のいずれかが原因金属と考えられます。

アクセサリーの場合は局所的に症状が出るケースが多く、主な症状は以下のようなものがあります。

  • かぶれ
  • 水泡
  • かゆみ
  • 丘疹(ぶつぶつ)
  • 紅斑(皮膚が赤くなり、色素沈着の原因になる)

上記の症状が金属の触れている箇所に出た場合は局所性金属アレルギーといい、見た目でわかるので自分でも気づきやすいです。

注意したいのは全身性金属アレルギーといって全身の倦怠感や、指先・つま先など、金属が触れていない場所に上記の症状が出るケースで、原因の特定が難しくなります。

ステンレスで金属アレルギーが起こる理由

金属アレルギーが起こる仕組みを簡単に解説すると

  1. 汗や水分に反応した金属がイオン化する
  2. イオン化した金属が体内に入り込み、免疫反応が起こる
  3. 免疫が過剰反応し、かゆみやかぶれを引き起こす

となります。

ステンレスは不働態被膜の形成により、金属がイオン化するのを防いでいますので、本来ならアレルギーは起こらないはず。しかし、ステンレスは添加する金属によって不働態被膜の耐食性が変わるため、規格によって腐食しやすいものと、しにくいものがあります。
腐食しやすいステンレスをアクセサリーに使えば、不働態被膜の再生が追いつかず、含有するニッケル・クロム・鉄などのアレルギー物質が体内に溶けだして、アレルギーを引き起こす可能性があります。

また、腐食しにくいステンレスでも加工の段階で表面が変質していたり、異物が混入していたりする場合は、不働態被膜の破壊や再生阻害が起こるケースもあるでしょう。
ステンレスはアレルゲンになりやすいニッケルを多く含んだ金属ですので、不働態被膜が再生されない状態では金属アレルギーを起こしやすくなるのです。

ステンレスで金属アレルギーを起こしにくくするには?

金属アレルギーのリスクを抑えるためには、なるべくステンレスの不働態被膜が損なわれないようなお手入れをしなければなりません。
不働態被膜は塩分や酸に弱いため、使用後はしっかりと水洗いし、水道水に含まれる塩素が残らないよう水気をしっかりと拭き取ったあとに乾燥させましょう。
また、アクセサリーなどの肌に触れるアイテムは、アレルギーを起こしにくいステンレスにすることも重要です。

ステンレスとサージカルステンレスの違いはある?

サージカルステンレスとは、ステンレスの中でも医療用に使われる規格に対して使われる名称で、一般的なステンレスとの違いは規格による性質の差と言えますが、少々まぎらわしい点もありますので詳しくみていきましょう。

サージカルステンレスで最も有名なのはSUS316・SUS316Lという規格です。これらは医療用に使われるだけあり、耐食性はカトラリーなどに使用されている一般的なステンレスよりも高く、金属アレルギーを引き起こしにくいとされています。
SUS316とSUS316Lはクロムとニッケルの他にモリブデンを合金し、より耐食性を高めており、そのぶん価格が上がる傾向にあります。
注意したいのは、どの規格をサージカルステンレスと呼ぶかは業者の判断に委ねられているという点。

サージカルステンレスという呼称を使うにあたっての制限がないため、SUS316よりも耐食性が劣るSUS304(カトラリーに使われることの多いステンレス。医療用の針や手術用のメスにも利用されています)も、サージカルステンレスと謳うメーカーがあるのが現状です。

SUS304はクロム18%、ニッケル8%の合金で、前述のSUS316とは違う性質をもつステンレスですが、高価なモリブデンを使用しないためSUS316より安価に製造できるというメリットがあります。
サージカルステンレスという名称を使用するための基準が存在しないので、間違いとは言いきれないものの、製品によって性能が異なるというのは、消費者にとっては不親切と言わざるを得ません。

つまりサージカルステンレスはステンレスという金属の中で、よりアレルギーが起こりにくい性質をもつものに対して使われている名称で、金属アレルギーに配慮した製品であるという判断材料にはなるものの、最も肝心なのはステンレスの規格です。
SUS316とSUS304は規格ごとに明確に使用金属の配合が決まっていますが、サージカルステンレスという名称には明確な区別がありませんので、アレルギーが心配な人はしっかりと規格を確認してください。
多くの人が正しい知識をもつことで、こういった不明確さも解消されていくはずですので、これを機にサージカルステンレスについて正しく理解していただけたらと思います。

ステンレスとチタンの違いはある?

ステンレスとチタンはまったく違う金属でありながら、強度や耐食性に優れている点などステンレスと共通する特徴も多くあります。アレルギーや価格など、詳しい違いを見てみましょう。

ステンレスとチタンの価格面での違い

価格はステンレスのほうが安く、チタンのほうが高価です。そのためチタンは、合金して強度を上げると同時に価格を抑えたチタン合金も出回っています。
純チタンに関してはアレルギーを起こす心配はほぼありませんのでステンレスよりも安全と言えますが、価格はステンレスより高くなります。
チタンもメッキや合金されている場合は、ニッケルなどアレルギーを発症しやすい金属が使われているケースもあり、絶対安全とは言えませんので、チタンより安価でアレルギーを発症しにくいサージカルステンレスにもメリットはあると言えるでしょう。

ステンレスとチタンの重さの違い

重さはステンレスのほうが重く、チタンのほうが軽くなっています。大振りなアクセサリーにはステンレスより軽いチタンが向いているものの、価格面や加工面の問題があるため、大きくて複雑な形状のものは出回っていません。
どちらかというと小さくても軽いほうがいいピアスや、太めのチェーンネックレスなどでチタンの優位性が発揮されます。

ステンレスとチタンのアレルギー面での違い

アレルギーに関してはどちらも出にくく、反応する金属に個人差があるため一概には言えませんが、純チタンに関してはアレルギーの心配はほぼないと言われています。
順位をつけるなら純チタンが最も出にくく、次がサージカルステンレスとチタン合金、その次が一般的なステンレスです。
ただしチタンは塩素イオンに強いという特徴があるため、海水に触れる機会の多い人はチタン素材をおすすめします。

ステンレスとチタンのその他の違い

チタンは磁性をもたないのに対し、ステンレスは規格によって磁性をもつものがあります。アクセサリーに使用されることの多いオーステナイト系のステンレスについては、チタン同様磁性を持ちません。

金属アレルギーの方がステンレスでアレルギーを起こしやすいアイテム

ステンレスはアレルギーを引き起こしにくいといっても、個人差がありますので敏感な人はアレルギーを発症してしまう可能性があります。
どのようなアイテムに、より注意するべきかを見てみましょう。

時計

時計の裏やベルトにステンレスが使用されている場合は、金属アレルギーを起こしやすくなります。雨や手洗いで水分に触れると、表面が乾いても裏側は濡れたままだったり、夏場に汗をかいてそのままにしておいたりすると、リスクが高くなりますので注意してください。
時計のように肌に触れる面積の多いアイテムの場合、水分や蒸れによるかぶれの場合もありますので、乾いた状態で普段つけていない方の手につけてもかぶれるかを確認してみましょう。
蒸れが原因なら、時計の水分を拭き取り、清潔に保つことで解消するケースもあります。

また、よりアレルギーを起こしにくいSUS904Lという規格のステンレスを使用するなど、アレルギー対策に力を入れているメーカーもありますので、アレルギーが心配な人は使用しているステンレスの規格から時計を選ぶのもいいでしょう。

ピアス

ピアスは皮膚を貫通しますので、金属イオンを取り込みやすい状態で身体と金属が接触するアイテムです。金属アレルギーを発症するリスクが高いため、日本ジュエリー協会がピアスのポストに使用する金属に関する注意を促しているほど。
ピアスホールを開けるときに使用する針には、サージカルステンレスを使用しているものが多く、一時的な接触に関しては問題なく使用できるでしょう。ただし、最も金属アレルギーを引き起こしやすいアクセサリーですから、とくにピアスホールが完全な状態でない時期の素材選びは慎重におこないましょう。
前述のようにサージカルステンレスは安全な部類とはいえ、万全とは言えません。純チタンなら安心して着用できますので、ステンレスのピアスはピアスホールが安定してから試すようにしてください。

ネックレス

ネックレスは汗をかきやすい背中や胸と接触しますので、注意が必要です。夏場や運動中など、汗をかくシーンでは外し、使用後はしっかりと水洗いをしてから水分を拭き取り、よく乾かしておくことで発症のリスクを抑えられるでしょう。
アレルギーがある人でも、ネックレスは服の上から着用するなど、肌に接触することなく着用する方法もありますので、体質に合った方法で楽しみましょう。

【番外品】生活用品(鍋・タンブラー)

調理に使う鍋やタンブラーにステンレスが使われている場合、皮膜されていない部分があればニッケルなどの金属を経口摂取してしまい、金属アレルギーを発症する可能性があります。ただ、ニッケルはチョコレートなどの食品にも含まれていますので、ステンレス製の調理器具を避けたからといって金属アレルギーが収まるとは限りません。

空き缶などと接触したままにいていたり、塩分や酸度の高い食品を入れたまま長時間放置していたりすると、腐食の原因になりますので、使用後は洗って乾かすなど通常のお手入れをしてください。

まとめ

ステンレスについて解説しました。ステンレスは金属アレルギーを引き起こしにくいものの、お手入れ方法によってはアレルギー発症の原因になります。
ステンレスは不働態被膜を損なわないようにお手入れをして、耐食性の高い規格のものを使用すれば比較的安全な金属ですから、肌に触れるものを選ぶときはステンレスの特性を理解して、アレルギー発症のリスクを抑えましょう。

ニッケルに金属アレルギーをもつ人の中でも、ステンレスOKな人とNGな人がいますので、まずは試してみてください。ステンレスには多くの規格が存在しますので、安いという理由で選ばず、よりアレルギーが出にくいとされる素材を選ぶことが大切です。
この記事を参考にしていただき、あなたに合ったステンレスアクセサリーが見つかれば幸いです。

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