プラチナコーティングとは?錆びたり変色はする?本物のプラチナとは何が違うの?

プラチナコーティングとは?錆びたり変色はする?本物のプラチナとは何が違うの?

プラチナコーティングとは?

ネットでアクセサリーを探していると、たまに「プラチナコーティング」と書かれたアクセサリーを目にします。まるでプラチナをつかって表面をコーティングしているような表現ですが、実はほとんどの製品はプラチナを使っていません。
もしかすると「ダマされた」と思う人もいそうな、わかりにくい表記ですが、プラチナコーティングはプラチナに非常に近い貴重な金属でコーティングされています。

今回は、謎の多いプラチナコーティングの正体と疑問を解き明かしましょう!
メッキと聞くと「偽物」「偽装」などのマイナスな印象をもつ人もいるかと思います。しかし、プラチナコーティングにはメリットも多くありますので、この記事を読めばイメージが変わるかもしれません。

正体はロジウムメッキ(コーティング)

プラチナコーティングの正体は、ロジウムという金属を使ったメッキです。貴金属としての知名度は低いけれど、ロジウムはプラチナと同じ白金属に入る元素で、プラチナ同様希少で価値のある金属です。

田中貴金属の貴金属相場推移表から2022年8月の平均価格をみると

  • パラジウム:9,431円
  • 金:7,980円
  • プラチナ:3,986円
  • ロジウム:64,100円

(いずれも1gあたりの金額)

となっており、ロジウムは文字通り一桁ちがう金額で取引きされています。

参考URL:https://tanaka-preciousmetals.com/jp/library/rate/

ロジウムはジュエリーだけでなく、車の排ガスを浄化するための触媒として利用されるなど、工業分野でも需要の多い金属。近年はパラジウムの不足によりロジウムの需要がいっそう高まっています。

産出量が少ないけれど需要は多いため、価格の変動に幅があるものの、ロジウムはプラチナやゴールドといった有名な貴金属同様、高値で取引される金属です。

本物のプラチナにロジウムメッキをする意味

プラチナ本来の色というのは、シルバーよりも鈍い灰色です。また、純度の高いプラチナはやわらかく、表面に傷がつきやすいという特徴があります。

上の指輪はすでに着用して傷のあるものなので、写真では違いがわかりにくいものの、実際に手に取って比べると右の指輪のほうが傷が少なく、石を留めている覆輪部分が輝いています。指輪内側の、傷が少ない部分で比較すると、光の反射に明らかな違いがありました。

ロジウムはプラチナよりも白くやわらかい光を放つ美しい金属で、白金族の中ではもっとも光反射率が高い80%です。

さらにロジウムは耐食性が高いためアレルギーにもなりにくく、化学的に安定しているため酸やアルカリなどの薬品に強いといった特徴も。加えて見た目にも美しいとなれば、ロジウムがアクセサリーに使用されるのもうなずけますね。

しかも、ロジウムはプラチナ本来の色味より輝きを増しつつ、やわらかいプラチナ表面の強化にも役立ちます。
ロジウムはビッカース硬度が高く傷がつきにくいため、プラチナにロジウムコーティングをすれば、表面が硬くなり小傷を防いでくれますし、摩耗によるメッキの剥離もおきにくくなります。

最初からロジウムでアクセサリーを作ればいいのでは?

ロジウムが貴重で、プラチナよりも美しい金属なのはわかりました。では、なぜもとからロジウムを加工してアクセサリーにしないのか?というと、ロジウムの価格と加工性に原因があります。
ロジウムは非常に硬いため、加工性に難点があり、鍛造での加工(金属をたたいて曲げたり、伸ばしたりすること)ができません。

板材を削って加工することは可能だと思いますが、前述のようにロジウムは非常に高価な金属です。ロスの大きい工法で、苦労して作ったアクセサリーでも、誰にも買ってもらえないような金額でしか販売できないでしょう。

また、削り出しでしか加工できないとなれば、デザインも非常にシンプルなものになってしまいます。

オーダーメイドであれば実際にロジウムで作られたアクセサリーもありますので、今回はロジウムが鋳造できると仮定して(実際にはロジウムを扱っている鋳造業者は見つかりませんでした。)プラチナ・ゴールド・シルバーと価格を比較してみましょう。

上の写真の青いものはワックスという素材で作られた指輪の型です。鋳造では、このワックスの型を取り、取った型に金属を流し込むという作業をするため、ワックスの重量がわかれば必要な金属の量や金額がわかります。

詳しい説明や計算過程は省きますが、この指輪を作るために必要な地金量は以下のようになりました。

  • プラチナ(pt900):9.765g
  • ゴールド(K18):14.415g
  • シルバー(silver925):18.6g
  • ロジウム(純ロジウム):12.41g

実際にロジウムを使って鋳造している会社は発見できませんでしたので、純ロジウムで鋳造すると仮定して、前述の貴金属相場推移表の平均値より、それぞれの金額を算出します。

ロジウム以外の金属は、それぞれカッコ内の地金割合で計算しました。

  • プラチナ(pt900):66,726円
  • ゴールド(K18):83,030円
  • シルバー(silver925):784円
  • ロジウム(純ロジウム):739,797円

ロジウムはなんと70万円を超えました!実際に金額を出してみると、同じ色味のシルバーやプラチナと比較したときの金額のインパクトがすごいですね。

このように、ロジウム単体でアクセサリーを製作しようとすると、購入価格がとんでもないことになりますので、メッキでロジウムのメリットを添加する方法が取られています。

金属アレルギーでも大丈夫?

ロジウムはプラチナ同様金属アレルギーになりにくい金属ですので、アレルギーの人にも比較的安心な素材です。

シルバーは銅やニッケルなどにアレルギーがあれば、アレルギー反応を起こす可能性がありますが、シルバーにロジウムメッキをすることで反応しないというケースもあるでしょう。
ただし、ロジウム自体は安全でも、メッキの下地にニッケルなどが使われているものに関しては、ロジウムメッキが剥がれてきた際に注意が必要です。

ロジウムメッキの下地には、アレルギーが出やすいニッケルやパラジウムを使っている可能性があります。さらに、土台となる金属がシルバーやプラチナであったとしても、パラジウムや銅が含まれている場合はアレルギー反応が出る場合があるでしょう。

とはいえ、ロジウム自体にアレルギーがある人は少ないため、メッキが剥がれない限りはほぼ安全と言えます。メッキを長持ちさせるために、使用後は汗や水分をよく拭き取り、なるべくぶつかったり、他のアクセサリーと接触したりして摩耗させないようにしてください。

本物のプラチナでも純度によっては錆びる

プラチナは基本的に錆びない金属ですが、中にはプラチナなのに変色してしまった!という人もいるようです。
プラチナは単一元素ではやわらかく、傷がつきやすいため、他の金属と合金して強度を上げるのが一般的。pt950など純度の高いものはあまり心配いりませんが、純度の低いプラチナは、合金された金属によっては錆びが発生するケースもあります。

ここでいう錆びとは鉄くぎがボロボロに腐食するようなものではなく、表面が変色するといったようなもので、コバルト・銅・銀などが多く合金されているプラチナの場合は、黒ずみなどが見られるケースもあるでしょう。

コバルト・銅・銀などの割金は、プラチナに使用されるされる他の錆びにくい金属と比較すると安いため、価格面ではメリットがあります。海外で安く購入したものなどは、上記の金属が合金されているかもしれません。

プラチナの割金に使われることの多い金属の中でも、ルテニウムやパラジウム、イリジウムなど白金族の金属であれば、変色の可能性は下がります。あまり使われることはありませんが、チタンやタングステンを含有したものも、アレルギーの可能性は低いです。

ただし、アレルギーを起こしにくいと紹介した金属はどれも希少で高価なものですので、プラチナの純度が低くなったとしても価格面でのメリットは少なくなります。

ロジウムコーティングが施されていれば、純度の低いプラチナでも変色する心配をせずに身につけられますし、純度が高く傷つきやすいプラチナでも強度が保たれますので、本物のプラチナにロジウムコーティングをするメリットとなります。

メッキ(コーティング)=安い=悪いでは無い

メッキされたアクセサリーは、土台の金属をごまかすためにメッキをかけているというイメージを抱きがちですが、価格の面でも、強度の面でもメリットは大きいです。

すべてのアクセサリーがプラチナやゴールドを使ったものであれば、多くの女性は今のように気軽にアクセサリーを楽しめなくなりますし、職場でアクセサリーを外す必要がある人は、外したアクセサリーを保管するときも気をつかわなければならなくなるでしょう。

また、せっかく高いお金を出して買ったアクセサリーに、すぐ傷がついてしまうのも嫌ですよね。メッキは商品の価格を下げつつ、表面保護の役割もはたしてくれる大切な技術なのです。

メッキの利点はそれだけではありません。ゴールドやプラチナは重いため、ゴージャスなアクセサリーになるほど重くなります。その点メッキは中身をぬいて中空にすることも可能ですので、見た目のボリュームが同じでも、より軽やかに身につけられるでしょう。

メッキの目的と利点をまとめると、以下のようになります。

  • 見た目に美しくなる
  • 表面の強化
  • 軽量化などの機能面
  • 低コストでアクセサリーを提供できる

ロジウムメッキは、上記の中でも見た目の美しさと表面の強化、コスト面を目的としているものが多いです。
メッキをかけるとひとことで言っても、業者はアクセサリーの製造過程や使用シーンまで考慮して下地処理やメッキの厚みを変えています。さらに、上手にコントロールしないとメッキに傷や欠けが出ますので、技術的にも簡単なものではありません。

メッキは、安物でもメッキをかけたら豪華に見えるだろうという安易なものではなく、コスト面・機能面などにおいて非常に重要な技術なのです。

メッキについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください!

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まとめ

プラチナコーティングについて解説しました。プラチナコーティングの正体はロジウムメッキで、ロジウムはプラチナ同様希少で高価な金属です。

同じ白金族の金属なら「プラチナ」と名前の入っているほうが、価値があるように思えるのでは?というメーカーの下心が垣間見えるものの、ロジウムメッキはプラチナより強くて美しい、メリットの大きい仕上げ方法。技術的にも簡単ではありません。

簡単なお手入れで、美しいアクセサリーが身につけられるのもメッキがあってこそなのです。
プラチナコーティング=メッキと聞くといいイメージがなくて、今までなんとなく避けていた人も、これを機にぜひ試してみてください。