アクセサリーのメッキ加工とは?種類から効果、メリットやお手入れ方法まで

アクセサリーのメッキ加工とは?種類から効果、メリットやお手入れ方法まで

メッキ(鍍金)について

メッキとは、下地となる素材に異なる金属をつける技法のことです。
メッキの歴史は古く、メソポタミア時代にはメッキの技術があったと言われていますが、古代のメッキ技術についての資料は少なく、分かっていないことも多いようです。
日本では、かつてメッキのことを「滅金」と書き、(現在は「鍍金」と表記します)仏具や仏像、装身具などに用いられてきました。

メッキの方法は多くありますが原理は同じで、金属イオンと電子が結びつき、金属に変わる反応を利用して下地となる金属の表面を被膜しています。
金属だけでなく、プラスチックや石など下地の素材にかかわらずメッキは可能で、金属のように電気を通す素材には電気メッキがメインで施されますが、電気の流れない素材に対応できる新しい技法も次々に開発されています。

また、中が中空のアクセサリーなどでは、メッキを重ねたあとに下地に使った素材を取り除き、メッキのみで製造されるものあります(電鋳技術)

メッキ製品は、ゴールドやプラチナなどの貴金属とは保管や取り扱いの際に注意するポイントが微妙に違うため、プチプラでもお気に入りのアクセサリーは特徴を理解して長く愛用しましょう。

今回は、アクセサリーはもちろん、さまざまな製品に用いられるメッキの効果や、メッキ製品の取り扱いについて解説します。

メッキ加工のメリット

メッキには

  • 見た目を美しくする
  • 表面の強度を上げて傷がつきにくくなる
  • メッキした金属の性質を利用できる

といったさまざまなメリットがあります。

それだけではありません。たとえば、鏡はガラスにメッキした銀の性質を利用して作られています。
メッキの技術を使えば、鏡を銀だけで作るより、素材価格の面でも研磨などの行程面でもコストは下がるでしょう。
金属だけで作ると高価で流通できないものでも、メッキの技術を使うことで安価に利用できるようになるのも、メッキ加工の大きなメリットなのです。

価格を抑える目的以外でも、電鋳技術を使って中空のアクセサリーを作れば、大振りなピアスなどでも軽くなりますので、着け心地の観点からもメッキは大切な技術です。

メッキ加工のデメリット

メッキ加工をするデメリットとしては、メッキは永久的なものでないため、剥げてしまったり、メッキの技法や使う下地によっては高価になってしまったりといったことがあげられます。

ほかにも、海外ではメッキであることを隠して高額なアクセサリーを売りつけるなど、悪意をもってメッキ製品を利用する業者がいるかもしれません。
一見すると本物と見分けがつかない、メッキの高い技術を逆手に取られると、デメリットになる可能性があるでしょう。

シルバーメッキとは?

シルバーメッキは高い抗菌性があることから、アクセサリーだけでなく食器や医療機器などにも利用されています。
他にも筆記具や眼鏡など、身近なものにシルバーメッキは施されていますが、空気に長く触れていると変色しやすいという特徴があるため、なるべく空気に触れないように保管するのが長持ちの秘訣です。

シルバーメッキの変色を防止する処理として、溶液につけて表面を保護したり、シルバーメッキの上から他の金属をメッキしたりする方法がとられる場合もあります。

金メッキ

金メッキは古くから仏像などに利用されてきました。古くは水銀を使ったアマルガム法や金箔法と呼ばれる技術で施されてきましたが、現在は電気メッキ法がメインです。
金メッキはアクセサリーの装飾だけでなく、電子機器のパーツに用いられるなど、私たちの生活に欠かせない技術でもあります。

金メッキの効果

金メッキには、アクセサリーの見た目を美しくする効果だけでなく、耐久性が高く下地の金属が直接肌に触れないために、金属アレルギーが出にくいといった効果もあります。

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また、下地にゴールドよりも比重の軽い金属を使うため、軽くて装着しやすくなるというメリットも。
金は水の約19倍重いため、大振りなペンダントやピアスなどをすべて金で作ると価格もさることながら、重さも相当なものになるでしょう。
アクセサリーは見た目だけでなく、着け心地も大切な要素ですので、軽量化も金メッキの大きな効果と言えます。

電子部品として重用される金メッキの効果としては、耐久性や電気抵抗の低さなどがあげられます。

金メッキの用途

金メッキは混ぜる金属によって色調が変わるため、装飾用として優れた効果を発揮しています。金メッキの光沢を活かして、アクセサリーだけでなく鞄・ベルト・時計など小物類の金属部分や、楽器にも使われている他、古くから仏像などにも金メッキは使われます。

現代では耐食性や導電性の良さといった金の性質は、PCをはじめとする電子部品の基盤やコネクタなどにも利用されており、金メッキの活用の幅は広がる一方です。

金メッキの注意点

金メッキの製品を長く使っているとメッキが薄くなり、剥がれてくる場合があります。
金属アレルギーのある人は、メッキが剥がれると下地の金属に反応してしまう可能性がありますので、注意をしてください。

メッキが剥がれていなくても、24金メッキ以外の金メッキには金以外の金属が合金されているため、金属アレルギーが絶対に出ないとは限りません。
合金に使われる主な金属は

  • シルバー
  • ニッケル
  • コバルト
  • カドミウム

ですので、上記金属にアレルギーがある場合は、様子を見ながら装着してください。
長く付き合いたいジュエリーには18金や24金など品位の高いゴールドを選び、流行に左右されるデザインのアクセサリーについては金メッキの製品を取り入れるなど、賢く利用するのがおすすめです。

金メッキだと思っていたアイテムが、真鍮など他の金属のメッキだったという場合もアレルギーを発症する可能性がありますので、心配な人は購入前にしっかり確認しておきましょう。

ロジウムコーティング

ロジウムコーティングはロジウムメッキのことで、アクセサリーでは主に見た目の向上や表面保護といった目的で使われます。
ロジウムコーティングは後述する「プラチナコーティング」や、「プラチナ仕上げ」と言われる場合もあり、プラチナよりも明るく白いため、アクセサリーのメッキに多用されています。
シルバーやホワイトゴールドのアクセサリーにプラチナ仕上げと書かれている場合は、ロジウムコーティングとほぼ同義だと思ってください。

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ロジウムコーティングの効果

アクセサリーの表面にロジウムコーティングを施すことで、変色を防ぐ効果があります。
また、ロジウムコーティングはプラチナ仕上げの別名がつくように、シルバーの白さを増し、輝きをアップさせるためにも使われています。
これはロジウムの高い鏡面反射率が影響しており、酸やアルカリにも強いという性質もアクセサリーには欠かせません。

その他にも、硬度が高いため電子機器の部品に使われたり、酸性雨の原因物質である窒素化合物を、無害な窒素に還元するための触媒として使われたりもしています。

ロジウムコーティングの注意点

ロジウムコーティングは表面に薄くコーティングされることがほとんどです。
酸やアルカリなどの薬品には強いですが、研磨剤などが入ったクロスで磨くと、表面のロジウムが剥がれてしまいますので注意してください。
市販のシルバー磨きは研磨剤が含まれるケースも多いため使用せず、何も添加されていない柔らかい布で拭くなどのお手入れがおすすめです。

下地がシルバーの場合は、ロジウムコーティングが剥がれてしまった部分から変色してしまいますので、なるべく空気に触れないように保管してください。

ロジウムコーティングは金属アレルギーにならない?

ロジウム自体は金属アレルギーを起こしにくい素材ですが、メッキである以上、剥がれてしまえば下地の金属に反応して金属アレルギーを起こす可能性があります。

また、ロジウムコーティングをする前段階の下地として、ニッケルやパラジウムでメッキをすることが多いので、下地が見えるほど剥げていない場合でも油断はできないでしょう。

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プラチナコーティングの効果

アクセサリーにおいてプラチナコーティングと言われるものは、ほとんどがロジウムコーティングです。
これは、ロジウムとプラチナは同じ白金族に属する金属でありながら、ロジウムが一般的に価値のある貴金属と認知されていないため、認知度の高いプラチナを名称に使っているのだと思われます。

ロジウムは白金族(=プラチナ族)ですので、間違いではないのですが、消費者にとってはわかりづらいですよね。
売り手が輝きをよりわかりやすく表現したいがために、買い手にとってはわかりにくくなってしまっているのが現状ですので、覚えておいてください。

アクセサリー以外では、プラチナメッキも利用されています。ロジウムメッキと比較すると黒く、美しさで劣りますのでジュエリーにはあまり使用されませんが、眼鏡枠や電極材料には使用されていますので、プラチナメッキが存在しないわけではありません。

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プラチナコーティングは金属アレルギーにならない?

プラチナコーティングもロジウムコーティングと同様に、アレルギーが起きにくい金属です。
しかし、メッキが剥がれてしまうと、中の地金に反応して金属アレルギーを発症する可能性があります。
メッキが剥がれないよう汗をかくシーンでは使用しないようにしたり、着用後は柔らかい布で優しく拭いて保管したりしましょう。日常のこまめなお手入れが長持ちの秘訣です。

pvdコーティングの効果は?

pvdコーティングのpvdとはメッキ方法の一つで、フィジカル・ベイパー・ディポジション(Physical Vapor Deposition)の頭文字をとっています。

メッキの方法は大きく分けて湿式メッキと乾式メッキに分かれており、pvdは乾式メッキに分類され、乾式メッキの中でも気相メッキ法に分類される方法です。
開発初期のころ、pvdコーティングにおいてメインの工法は真空蒸着法でしたが、メッキ速度が遅いために実用化には向かず、現在は主にイオンプレーティング法とスパッタリング法によってメッキが施されています。

pvdコーティングの効果としては、硬く剥がれにくい表面が得られることや、多色性があげられます。

pvdコーティングは金属アレルギーにならない?

コーティングされている金属がチタンなどのアレルギー反応を引き起こしにくい金属なら、金属アレルギーになりにくいでしょう。
そのため、装飾品に使われる被膜は窒化チタンや窒化ジルコニウムがメインとなっています。
ただし、メッキが剥げて下地の金属が皮膚に触れてしまうと、反応するリスクは他のメッキと同様です。

使用環境にもよりますがpvdコーティングは剥がれにくいため、適切に管理すればコーティングが長持ちするでしょう。
そういった意味では、金属アレルギーになりにくいと言えるかもしれません。

メッキアクセサリーのお手入れ方法は?

メッキアクセサリーには、シルバーやゴールドのアクセサリーとは違ったお手入れポイントがあります。
見た目は同じに見えますが、メッキアクセサリーは他のアクセサリーより汚れや衝撃に弱いため、長持ちさせるためにもお手入れは慎重におこないましょう。

メッキアクセサリーに多いトラブルは変色やメッキ剥がれですので、それぞれの対策をご紹介します。

黒ずみ対策

メッキ製品の黒ずみは主に、

  • メッキが剥がれて下地の金属が見えてしまっている
  • シルバーなどメッキした金属が空気(硫黄)と反応して黒ずんでしまっている

という2つの原因に分かれます。

剥がれを防止するためには、アクセサリーを研磨剤などの入ったクリーナーで磨かないようにすることや、汗や汚れが付着した状態で保管しないこと、アクセサリーが何かにぶつからないようにすることが大切です。
シルバーメッキはとくに黒変しやすいため、黒ずみを防ぐ対策として空気に触れないように保管することをおすすめします。

もしも黒ずんでしまった場合は、ゴシゴシこするとメッキを剥がしてしまう恐れがありますので、ぬるま湯に中性洗剤を溶かしたもので優しく洗ってください。
重曹とアルミを使って黒ずみを取り除く方法も紹介されていますが、メッキの状態がよくない場合は悪化する可能性もあるため、あまりおすすめできません。
もしも試す場合は、以下のような手順でおこないます。

【用意するもの】

  • アルミホイル
  • 重曹
  • 耐熱容器(アクセサリーが浸かる程度の大きさ)
  • 熱湯(1カップ)

【手順】

  1. 耐熱容器にアルミホイルを敷く
  2. 1にスプーン一杯ほどの重曹を入れる
  3. 2に沸騰して少し冷めた程度のお湯を入れる
  4. 汚れを落としたいアクセサリーを漬けて数分おく

拭いても落ちない汚れは、この方法でキレイになる可能性があります。

【注意点】

  • メッキされている金属によっては黒ずみが取れない
  • 黒ずみと思っていた汚れがメッキ剥がれだった場合は悪化することもあり得る
  • 熱に弱い宝石や、接着剤を使用しているアクセサリーには向かない

といったものがありますので、デメリットを考慮し、自己責任でおこないましょう。

変色対策

メッキの変色は衣類などに付着した残留薬物や、漂白剤などの薬品と反応して起こるケースがあるため、他のものとわけて保管するなどの対策が有効です。汗(水分)を長期間放置していたり、空気に触れたりといったことも原因になりますので、濡れたらすぐに水分を拭き取るようにし、着用後は柔らかい布で汚れを落としてから保管してましょう。

ワンシーズン以上つけないのであれば、密閉できる袋になるべく空気を抜いて入れ、湿度の高い場所は避け、直射日光の当たらないところで保管してください。

剥がれ対策

メッキが剥がれてしまうのは、お手入れ方法を間違えているケースが多いため、お使いのクロスを確認してみましょう。

シルバー製品と同じような取り扱いをしていると、メッキが剥がれてしまう恐れがありますので、お手入れの際は研磨剤などが入っていないクロスを使用してください。
また、シルバーアクセサリーを歯磨き粉などの研磨作用を利用して磨く方法もありますが、メッキのアクセサリーには厳禁です。

個人差はありますが、汗の成分でもメッキが剝がれやすくなりますので、汗が付着した場合は水で洗い流してから乾かすようにしてください。
その他、メッキは衝撃に弱いため、他のアクセサリーとぶつからないよう分けて保管する、アクセサリーをぶつけないようにするなどの対策をしてください。

メッキが剥がれてしまった場合は再メッキを施す他に対策はありませんが、安価なアクセサリーの場合、下地の金属やデザインによっては修理ができないことも。
残念ですが、その場合は買いなおす以外に対処法がありませんので、上記のお手入れ方法で少しでも長持ちするようにしましょう。

つけたままお風呂に入るとサビる?

メッキのアクセサリーをつけたまま、何度もお風呂に入ってしまうと、劣化が早まりサビる恐れがあります。
一日だけうっかりアクセサリーを外し忘れたからといって、入浴剤の入っていない家庭のお風呂で一気にサビることはありませんが、濡れたら必ず水分をよく拭き取って、よく乾かしてから保管しましょう。
ただし、サビとは異なる反応ですが温泉は硫化水素などの成分によって黒変する恐れがありますので(硫化)、必ず外して入浴してください。

お風呂に入ってもサビないアクセサリーを探している場合は、ステンレス系のアクセサリーを選びましょう。
ズボラさんでもつけっぱなしにできるので、お風呂、温泉、家事など水場のあるシチュエーションで大活躍してくれます♪

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メッキアクセサリーの寿命は?

どんなに大切に扱っても、メッキである以上いつかは剥がれてしまいますが、メッキアクセサリーの寿命は使用環境やお手入れ方法で大きく幅があります。
また、メッキ方法によっても変わるため、一概にはいえませんが、数ヶ月~数年を目安にしてください。

使用頻度が少なく、管理方法が適切であれば10年経ってもつけられる場合もありますので、大切なアクセサリーは使用後のお手入れを徹底し、直射日光が当たらず湿気の少ない場所に密閉して保存するようにしましょう。

自分で再メッキできるの?

代表的なメッキ法である電気メッキが属する湿式メッキについては、毒性のある薬品を使用するため、取り扱いに十分な知識を要します。
廃液は環境汚染につながるだけでなく、あなた自身の健康を損なう恐れもありますので、自分で再メッキをするのはおすすめできません。

DIY用に販売されているメッキ液などはありますが、再メッキの場合、今残っているメッキを綺麗に剥がしてから加工する必要があります。
美しいメッキには下地となる素材の表面仕上げが重要なため、アクセサリーのように細かいものについては素人では難しいでしょう。

メッキの種類やデザインにもよりますが、専門の業者に出しても小さいもので数千円から綺麗に仕上げてくれますので、プロに相談するのをおすすめします。

【番外編】メタルコートの効果

メタルコートは樹脂が主な成分の保護剤で、金属の表面に塗って小傷を防ぐほか、肌に直接金属が触れないため、金属アレルギーの予防に効果があります。
小傷を防いでメッキの剥がれ防止にも役立ちますので、アクセサリーを長持ちさせたい人は試してみるのもいいでしょう。

ただし、細いチェーンなどは液体のメタルコートを塗ったあとに乾かすと、動きが悪くなる可能性もあるため、目立たないところで試してから使うようにしてください。
また、メタルコートは使用するうちに剥がれてきますので、とくに金属アレルギー対策として使用する場合はマメな塗り直しが必要になります。

まとめ

メッキのアクセサリーについて、種類やお手入れ方法を解説しました。
メッキ製品は表面につける金属の種類や、メッキ方法によって名称が異なり、マメにお手入れをすると長持ちします。

お手入れをするときは薬品を含まない柔らかい布で、汚れを優しく拭き取るようにしてください。
保管は空気に触れないようにするのがコツです。直射日光と高温多湿の場所を避け、チャック付きビニール袋などを使ってなるべく空気に触れないようにすると、メッキの劣化を遅くできます。

メッキ製品は価格が安く抑えられていますので、気軽に身につけられるのが嬉しいポイント。
お気に入りのアクセサリーはお手入れをして、長く愛用してください♪

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